美鳥の日々考察

美鳥の日々井上和郎

(流し読みした漫画版とアニメ2話までの知識が根拠なので実際の設定と大きく異なってる部分はあると想いますが気にするな)


作品の前提条件として美鳥の存在。
これは美鳥の生霊が正治の象徴である悪魔の右手に取り付き、霊体が具現化した結果の美鳥な右手に変貌したと考えられる。もっとへんてこな設定は漫画において当然の如く存在してはいるものの、こんなピンポイントな設定を思いつき、更にこれだけの人気を保つ作品に仕上げ続けてるってのはかなり凄いコトだ。

実際この漫画は面白い。
登場キャラは何気にキャラが立ってるし、友情だの愛情だのといった少年誌における基本中の基本はガッチリ押さえている。物語自体の展開は大きな流れを組んだストーリー物ではなく、短編を重ね合わせて時間が進むといった読みやすい形式なので、基本的なことさえわかっていれば何処から読んでも面白い。

ただ気になる点として、生霊になる前の美鳥は、正治に話しかけることも出来ないぐらいに気弱な少女だったというのに、生霊になって右腕にとりついた時にはそんな様子は欠片も見せずに、只管今の状態を喜んで楽しんで能天気に日々を暮らしている。

人の精神というものは多かれ少なかれ肉体に影響を受けている。デブかった時は根暗で後ろ向きだった奴が、減量に成功した途端に明るくて前向きなナイスガイに変わることは珍しいことではない。生霊前の美鳥は、正治との関連性が皆無なただの少女でしかなかったが、取り付いた後は身体が直接正治と連結している状態、即ち見た目の上でも気分の上でも一心同体になったわけだ。別に感覚の共有をしているわけでもなく、本当のところは機関車と貨物列車のような、存在としては切り離されている関係だが、機関車の其れとは違って二つを継げる連結部が目に見えず、物理的には存在していないということが、心理的面において正治と融合しているという気分にさせているのだろう。

或いは、美鳥は元より、正治との出会いのきっかけさえあれば生霊にならずとも現在のように素直に好意を示すことが出来たのかもしれない。しかし彼女は自分からそのきっかけを作ることが出来ず、その思いが転化して、生霊となったのかもしれない。

または、生霊となり取り付いたのは美鳥の正治に対する想いだけであり、他の感情はすべて本体に眠ったままなのかもしれない。恋は盲目というように、恋の想い以外の感情だけが残された美鳥の本体は何も見ることが出来ず、故に目を覚まさないのではないだろうか。

と、つらつらと書き記しては来たが、別にこの漫画は心霊現象をメインに捉える漫画ではなく、登場する女性キャラに萌えたり、彼女欲しいとか言ってた癖に実はそういうつもりねーんじゃねーか狂犬野郎とか思ったりすることで楽しむ漫画なので、見てて恥ずかしくなるけど良く考えたら全然うらやましくないよなあ、なんて思ったりも出来る漫画が読みたい人にはお勧めの代物なのです。