読みはじめるのに一月かかった

『ディバイデッド・フロント Ⅱ僕らが戦う、その理由』高瀬彼方

――――――それでも、ここで生きようと思った。

この作品の帯に書かれているこの言葉、これが全てです。
完全に隔離された『北関東隔離戦区』内で日々戦い続ける少年少女時折年寄りな自衛隊所属の戦士達の中の一部分である『イコマ小隊』の面々の各々の視点で描かれていくのがこの作品。これほど各々の心理状態に肉薄した作品は久々に読んだっつー感じ。誰がなんと言おうと完全完璧に絶望的な状態を懸命に生き抜いている人々の心理状態なんていうのは実際にその立場にならない限り理解しようがないってのは確実ではあるものの、これを読んでいたら何かそういう状態に己が置かれてるんじゃねーかと一瞬錯覚しちまいかねない出来でした。読み終わった瞬間に背筋凍ったし。

このシリーズの心理描写の巧みさは特筆すべきものなんですが、それに加えて世界の設定敵の設定とかキャラの各々の個性が非常にバランス的な部分、描写という点では戦闘の描写に関しても素晴らしい。此処まで俺の好みの作品はそうそうないぞ、って感じなのです。かといってこの作品が完璧かときかれると頷くことは出来なかったりするのが何とも曖昧なところ。でもまあ点数つけるなら90点台必至なので、さっさと読むが良いぞ?