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バッカーノ! 1931 特急編』成田良悟

一つの出来事であってもそれを体験する人によって全然違ったものとして認識されるものです。一つの殺人事件であっても犯人被害者参考人偶然通りかかった人など、その人の役割によっても認識は違うし、同じ役割だとしても性別年令主義主張などあらゆる条件に伴い更に認識は異なります。多くの場合一つの人格のみをもって生きている我々には、自分の認識しか得ることが出来ないのですが、それが小説という媒体では擬似的に体験することができます。だからこそ使い古された手法なんですけど。

本作は前作である鈍行編と同一時間上の物語で、前作ではその正体が殆ど明かされていないやつらがメインを張っています。作業着の彼女とか死神の彼とか真っ赤なレイルトレーサーとか、まあそういう人たち。あのわけのわからん事件で何が起こっていたのかがこれを読むことでよーくわかるんですが、不死者がなんぼのもんじゃって感じに不思議なやつらが大活躍してるので、ちょっと呆気にとられちまうんじゃねーかとも危惧しています。まあものすごく面白かったんですけど。

(☆☆☆☆)

バッカーノ! 1932 Drug&The Domino』成田良悟

この世では色んな人たちがいろんなことをやってるわけで、その色んな要素が絡み合ってこの世が構成されている。全然関係がないように見える事象がつながってる場合もあるし、とても関係がありそうな事象が実は全然つながっていない場合もある。とはいえ、やはり関係有りそうな事象が実際に繋がりを持っている可能性の方が一番高い。まあ確率が高いだの低いだのいったところで、実際問題それが起きたか起きなかったの2つしかないんだけど。

本作では前作である1931とある程度の日数、出来事が重なり合っているが全然違う物語である。不死者になったことの空しさを感じるマフィアや兄貴の行方を捜す金持ち、気弱な麻薬中毒者や錬金術師である自分を追及し続ける悲しい不死者、といったやつ等がドミノ倒しのように運命を連鎖していく。膨大な登場人物達が連鎖し続けるお陰でこれまでのことを思い返すのが大変だが、頭の中でそれらがつながった瞬間の爽快感は入り乱れた物語ならではのもの。巻数を重ねるごとにそれが深まっていく本作は、かなり思考力が劣化してる俺には辛いのと反比例して気持ちよさも一層である。

(☆☆☆☆)