傑作を読んだ

銀盤カレイドスコープ vol.1』海原零

最近アイススケートが多少のブームになっているが、その理由として大きいのは一人の女子選手だろう。実際、本当に上手くて綺麗な選手は海外に揃ってるのだが、日本という国の中にで、多少可愛く多少上手い女子選手が現れたとなると日本の男性各員は見事に飛びつく運びとなるわけだ。ちなみに俺もその現象に踊らされている人間の一人で、深夜に彼女の特番が組まれたら録画して翌日早送りしつつ一応チェックしたりする。まあ一番好きなスポーツ選手は悲劇のヒロインでもあるラドゥカンなんだが。

この銀盤カレイドスコープの舞台は丁度今年で、主人公の年令だとか立場だとかが現在のアイススケート界に結構マッチしてる、いわゆる時代を先読みした作品といえなくもないきがしないでもない。この物語でもいっているが、現在のアイススケート人気の一つは目前に(といっても来年だが)迫ったオリンピックがあげられるわけで、結局のところ日本人はお祭りが大好きというだけのことである。そんなどうでもいいことはおいといて断言するが、この作品は傑作である。正直読み始めたときは主人公のキャラがむかついて読むのやめちまおうかと本気で思いもしたけれど、読み薦めるにしたがってなんともまろやかな良いキャラに変貌していったので読むのをやめなかった自分に感謝したぐらいだ。

俺はバトル漫画やギャグ漫画をこよなくあいし、最近はラブコメも好むがスポーツ物も結構好きである。その中で一つ俺の記憶に鮮烈に残っている作品をあげると天才バレー少女昴を描いた『昴』で、あれのボレロのシーンを読んだときは鳥肌がおさまらなかったのだが、今回この銀盤カレイドスコープの最後らへんのショートプログラムの部分を読んでいるときに、似たような感覚を味わった。アイススケートの演技を表現するための言葉の意味は皆目わからない俺だというのに、頭の中には主人公であるタズサが、ピアきゃろよろしくな格好で見事に滑っている姿が目に浮かんだのである。本当に面白い作品というものは、たとえ読者がその題材のことをまったく知らない状態で読んだとしても面白いわけで、それをきっかけにその題材に興味を持ってから再読するとさらに面白く読めるのである。デビュー作にしてこれほどの作品を書く作者には脱帽だ。

(☆☆☆☆★)