キーリ

『キーリⅢ 惑星へ往く囚人たち』壁井ユカコ

前作の出来事のせいで他人に対する不信感がかなり高まったハーヴェイとキーリと兵長は1ヶ月ほど前から近所に遺跡のある街に住んでいて、今回はこの街ですべての事件が起こった。

今回は不死者と普通の人間が一緒にいる、ということに対する覚悟が出来ていないハーヴェイの苦悩が中心。

自分のことだけを考えて生きてきた人間は、他人のことを考えて生きることなんて絶対に出来ない、と自分で思っている。
実は気づかない間に少しずつ相手のことを考えて自分を変えているはずだが、そんなことは一々自覚できないので。
だから、何かをきっかけに、ふと昔の自分と今の自分を比べて『ああ、俺って変わったんだな』なんて自嘲したりする。
たいていの場合、それは相手を失ってしまった時に気づくものだが、もしもそのことに気づいた後に、まだその相手が自分の近くにいるなら、それはとても素晴らしいことだ。

そんなわけで、不死者と不思議少女の今後に幸があることを祈る。

(☆☆☆☆)


『キーリⅣ 長い夜は深淵のほとりで』壁井ユカコ

ハーヴェイがいなくなってから1年半後の話。

多分キーリがハーヴェイとすごした時間というのは半年にも満たないぐらいの僅かな期間で、その後ビーと一緒に過ごした1年半のほうが時間にすると圧倒的に長い。それでもキーリの中でハーヴェイの存在が一番大きいのは、キーリが祖母をなくして以来初めてキーリの居場所を作ってくれたのがハーヴェイで、ハーヴェイの居場所を作ったのがキーリだからなんだろう。一番大切なものってのは、関わった時間なんかとは関係ないところで決定するものだし。

人より意地っ張りで自分勝手で気まぐれで、だけどお人よしで優しい二人+αの物語。

(☆☆☆☆)