3冊

『奇跡の表現』結城充考

第11回電撃小説大賞銀賞受賞作。

犯罪組織の元リーダーで、5年前に妻と娘を殺され自分も半死半生になり全身をサイボーク化した渋いおっさんと、修道院で暮らす捨て子だった少女の物語。
修道院を守る、という役割をもったことと、修道院を襲う脅威が昔自分のものだった組織によるもの、ということからただ生きているだけだった男が生きる意味を取り戻していく、みたいな感じのなんともダンディーなストーリー。
捻くれてるけど根は可愛い少女が読み進めるにつれて良い味を出していくし、主人公を尊敬する情報屋の親父もなかなか渋くて素敵、ただ肝腎ともいえる殺し屋さんがどうも二流っぽすぎて読んでて嫌になる部分も。一流の殺し屋なら相手に顔見せる暇もなくさくっと殺っちゃってください。

ストーリーも筆力もキャラクターも、全てが高次元にまとまっている良作。
物語の閉め方がとても上手くて、爽やかな読了感を与えてくれました。

158冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆)


『閉じられた世界』谷川流

電撃文庫に相応しいかどうかは知らんが、別に内容的にとんでもなくえげつないというわけでもない作品。
何十人か死んだり地上を地獄化しようとしてたりどうみても年齢一桁な死神が全裸で浮いてたりゴスロリチックな女子中学生とよなよな性交にふける高校生がいたりとある意味突き抜けてるのは確かだが描写は然程のものでもないしどうにも好き勝手やってるだけという感じがするのも否めない。人間に対する死神や悪魔や天使のイメージというのは、まあ読んでて納得できないこともない内容で、この本の読みどころってのはそこだけじゃないかなーと思ったりも。

まあ暇つぶしぐらいにはなりました。

159冊目(☆☆☆☆☆)


蟲と眼球とテディベア』日日日

知力、体力、財力、ルックス、それら全てが完璧な教師と、彼が全身全霊を込めて愛する女子高生を中心に巻き起こる、蟲と林檎とスプーンに彩られた不老不死の物語。ちーちゃんの時と同様、限りなくぶっとんだキャラクターと神話を巻き込んだ大げさなストーリー。地の分に統一感がないのがちょいと読んでて気になるものの、それを除けばいい感じ。

一番気に入ったのは、1000年前に不老不死の肉体を手にいれ、生きるにつれて人間としての感情を無くしていったグリコ(自称)が、閣下と生活を共にするにつれて段々と本来の自分を取り戻していく様。特に最終話の最後の台詞なんかは俺の心の微妙な部分ズサッと突き刺さってきたりしました。

この一冊で充分に完結してる一冊ですけど、なんか今後の彼らの生活(特にグリコの学生生活)も見て見たいなーと思うぐらいには楽しめました。

160冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆)