大量に

『カラミティナイトⅡ』高瀬彼方

昔いじめられていた、ひどく内向的でネガティブで妄想しがちで鬱陶しい女子高生が、『災禍の心臓』に選ばれた5番目の騎士となり『災禍の心臓』を狙う変な組織相手に大立ち回りを繰り広げる物語。一巻ではその女子高生が、昔自分をいじめていたクラスメイトをぶち殺しているので、この巻ではそれを引きずりさらにネガティブな感じになっちゃってます。

高瀬彼方という作家は、なんとも素敵な世界観を構築すると同時に、苦難の中にある少年少女の心理描写を非常に巧く魅せる作家でもあります。今回は殺人という罪を犯したネガティブ女子高生を中心に、昔の恋人への思いが消えきらない女子高生だとか、まあ他にも色々と魅せてくれています。

ま、今回は正直主人公のあまりのネガティブっぷりにイライラさせられっぱなしだったので個人的評価はちと低くなりますが。

294冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆)


『カラミティナイトⅢ』高瀬彼方

他人のキモチを理解しようとしたところで、その基準となるのが自分の意思である以上、それはただのシュミレーションでしかないわけで、自分とは違う他人のことを考えるための拠り所が自分のキモチという時点で、そんなことは成し得ないとわかりきってるんじゃないだろうか?それでもまあ、ほんの少しでも相手に近づこうとするから、お互いが傷ついてしまうわけなんだけど。

本作品の登場人物はどいつもこいつも他人のことを考えてる割に、その思いがさっぱり報われない奴らだ。全員が全員心に傷を持っている、なんてことは10年以上も人生やってりゃあ当然のことではあるけれど、先月クラスメイトを殺した経験があったり、先月クラスメイトを殺された経験があったり、両親や親戚が自分のせいで死んでしまった経験があったり、弟が外国人の乱闘騒ぎに巻き込まれて死んだ経験があったりと、普通に生きてるだけでは中々味わえないような傷を抱えた奴らばっかりとなれば話は別だ。しかも物語の中心にあるのは終末思想で一杯のカルト教団の崇める『災禍の心臓』とくれば普通に生活を続けることすらうざったくなるというもの。そんな中でも自分以外の誰かのために何かをしようというのは結構すごいことなんだろうなあ。と思いつつも、こいつらのネガティブさと愚かさには呆れ果ててしまったりもするのだけれど。

この巻終了時点でこのレーベル自体が消滅してしまい、続刊の発売が闇の中という当シリーズ。
ようやく登場人物のスタンスが定まってきて、尚且つ新キャラもいい味を出し始めている時期だというのにここで終わりというのは勿体無い話。
主人公がポジティブになる、というありえない未来については最早完全に諦めてしまったが、今まで守られっぱなしで結局自分からは何もしようとしなかった遠野がこのあとどういう選択をしていくのかが非常に気になるので是非に続きを読みたいところです。

295冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆)


『無責任黙示録』シリーズ(全5冊) 吉岡平

ファミ通文庫に舞台を移した『無責任シリーズ』の第一部シリーズ。
無責任シリーズで御馴染みの面々の先祖が次から次へと出てきて、無責任シリーズにおける歴史を片っ端から間違ったものに作り変えていきます。
なにせ人類で初めてラアルゴンにいった筈のジャスティ・ウエキ・タイラーより数百年も前にその先祖が既にラアルゴンに行き皇帝の親友になってしまっているぐらいですし。

富士見版無責任シリーズをはるかに超えるぐらいにライトな内容な本シリーズなので力は完全に抜ききった脱力した頭で読むことが求められます。まじめな文章が好きな奴だと10ページも読めないぐらいの文章展開に、なかなか感情移入ができない程度の適当さに満ちたキャラクターの心理描写の甘さ。さらにはご都合主義満開のストーリー展開、とかいうと俺はこのシリーズが大嫌いなんじゃないかと危惧しかねないぐらいに貶してるように見えますが、個人的には大好きな作品です。この王道とは決して言い切れないノリが最高。

296〜300冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆)

『無責任三銃士(上下)』吉岡平

『無責任シリーズ』唯一の、ラアルゴン人が主役の異色の巻。
といってもヒロインの女性は誰がどう見ても剣士版キサラとしかいいようのないキャラクターってところに吉岡平らしさをかんじるんだが。

タイトルどおり三銃士的な作品だったわけだが、2冊で終わりということもあり非常にわかりやすい内容になっている。
描写の甘さや適当さは相変わらずだがそれはまあ無責任シリーズの基本なので文句はない。
ただまあどうもこの作品はあまり好きになれないってのも正直なところ。
俺の中では黙示録と真の場繋ぎでしかない作品なのです。

301〜302冊目(☆☆☆☆☆☆☆)