白地図

マリア様がみてる 未来の白地図今野緒雪

人間関係というのは複雑で汚くて面倒くさいものであるが、社会というものがその面倒な人間関係をもってなりたっている以上、避けては通れないものだ。人間関係の基本は『好き』か『嫌い』かということだが、好きだの嫌いだのといった感情は見る角度や状況を少し変えただけで呆気なく変容を遂げる。可愛さあまって憎さ百倍といった言葉もあるように、さっきまで大切だったものが次の瞬間には憎くてたまらなくなる場合も珍しくはない。まあ、人間関係の構成要素にはそれに加えてもっと利己的な『理由できる』『理由できない』『役に立つ』『役に立たない』といった好き嫌いとは違う次元での分類も加わるために厄介なのだが。まあ後者のような分類が重要になるのは社会人になってからであり、金がないということ以外に大した制約をもたない学生の間は、最も基本的である『好き』『嫌い』だけ考えて人間関係を構築してればいいんじゃねーかと思います。打算のない・・・まあ厳密にはあるにせよ、即物的な打算のない関係ほど大人になってからは手に入れることが出来なくなりますから。

という戯言はさておき、本作品では長らくの間迷走を続けていた赤と黄の薔薇の蕾の妹問題にかなりの動きがみられます。ま、個人的に今回の肝はお姉さまのことも瞳子のことも、自分よりよーくしっているバイな優さんに嫉妬心むき出しの赤薔薇の蕾の様子のほうがみどころですが。自分の大切な人のことは誰よりも自分が知っていたい、という感情は理解できるし実感もできるので。まあ読んでて気持ちいいものじゃないって点は問題ですけど。それはさておき、今回は前回のミルフィーユに比べたら非常に面白かったです。

317冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆☆)