内面世界

『インサイド・ワールド』周防ツカサ

第5回短編小説賞<大賞>受賞作。

他者との関係構成を満足に行えない不登校の男子高校生が、他者との関係構成を満足に行おうとしない不登校で毎日空き地の小屋でロケット作りに明け暮れるクラスメイトの女子高生と偶然出会い、現実の世界から眼を背けるために彼女の世界に入り込んでいく。

誰でも異なる内面世界を持っていて、社会不適合とされる人間の内面世界は平均的な社会と比較したときにかなり異常な形態をとっている。
この物語に出てくる奴らは概ねそんな感じの奴らで、彼彼女が出会いそれぞれの世界を補完していくのが主題。
歪んでいるからこそ、自分と違った形に歪んでいる誰かの世界と合致することができる。
とはいえ、いろんな形の世界を集めて平均化した社会で生きている以上、歪みの少ない世界を保持している方が他の世界と合致しやすいわけで、歪んでいる世界同士が合致できる可能性は非常に低くなる。
以上のことから、この物語に登場する奴らは非常に幸運な社会不適合者である。

なんてことを言っている俺も立派なまでに歪みきった世界を内包している人格なんだと思うけど。

という感じに久々に意味のわからない戯言を垂れ流したくなるぐらいに好みの作品でした。
この世界に違和感を持っている奴らは読んでおいて損は無い作品だと思います。
多少は救いになることでしょう。

3冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆☆)