化物語

チームバチスタの栄光海堂尊
第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
稀なる成績を収めるバチスタチームが唐突に3例の患者を術死させる。
その原因を探るべく切れ者病院長は不定愁訴外来の主田口に内部調査を依頼する。
各方面のしがらみからその依頼を受諾した田口は、術死に何か原因があったのかを調べることとなる。

実際の勤務医が書いたらしい傑作娯楽本。
リアルっぽい手術シーンも読みどころかもしれないが、やはり主人公の田口そして相棒の白鳥による情報収集活動が読みどころ。
不定愁訴外来という実態がまったく明らかになってねーような場所を我が物とする田口が、自分なりの手法で真実に迫ろうとするところが一番面白かった。
文章力キャラクター力は抜群、ミステリーとしては及第点ぐらい、といった感じだが中盤以降の面白さは異常だった。

297冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆☆)


荒野の恋 第一部』桜庭一樹
桜庭作品にしては珍しく誰も死なないし人外なキャラもでないし特別なことは何も起こらない青春物語。
子供以上大人未満な中学一年の少年少女がちょっと一般的でない家庭で育ち、なんかこー、色々と。
桜庭作品を読むたびに思うのは、この人の作品に対しての好き嫌いは登場キャラが好みかどうかでかわるよなー、ということ。
正直『GOSICK』は主要二人が好きじゃないので現状楽しめた巻はそれほど無いのだけれど、短編だと結構すきなのが多い。
これはどちらかというと好きなタイプの作品だったので、完結したら残りもそろえて読もうかなーと。

298冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆)


化物語<上>』西尾維新
ひたぎクラブ』『まよいマイマイ』『するがモンキー』の3篇からなる連作長篇。
ぱっと見、なんだこのタイトルは?って感じだが、まあ読んでみたら即座に納得。
一応化物を題材にした物語だけど、真骨頂は維新節が炸裂し続けるキャラ同士の掛け合い。
目まぐるしく切り替わるボケツッコミの応酬、キャラ各々が大量に保有する固有要素、エンターテイメントに特化したシナリオ。
まさに西尾維新の特徴を活かしに活かしきった作品といっても問題ない。
ファンなら見逃すことは許されないだろう。

299冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆☆)


化物語<下>』西尾維新
なでこスネイク』『つばさキャット』の二篇が収録されている『ひたぎクラブ』『まよいマイマイ』『するがモンキー』の続きでもあり『化物語』の〆でもあるところの『化物語<下>』。
ただでさえ読んでて大満足だった上を遥かに凌駕するほどに俺の好みに合致するキャラ同士の掛け合いに笑い続ける以外の術が無かった。
更に上で積み重ねてきた設定とか日常とかが程よくエスプリされて紡ぎ出された化物語の最終作に当たる『つばさキャット』の読後感といったら、戯言シリーズの最後を読んだときに結構近い感じのレベルだったわけで。
とりあえず、明らかに作者自身が一番好きであろう後輩さんとのやりとりのすばらしさは、過去に読んだどの掛け合いよりも勝ってるんじゃねーだろうか、という感じでした。

まあ強いていうと、戯言シリーズを彷彿とさせすぎる部分が多々あったってことですが、それこそ西尾維新の原点なので問題ないっつーことで。あと、西尾維新の著作には多いのですけど、過去にあった最も重要であろう事件のことには大して触れることなく状況証拠というか、ヒント的な判断材料だけを与えるだけ与えて物語を先に進め続ける、という構成が今回もとられてるので多少食い足りない感もあるのですが、それはそれで楽しみ方はあるのでこれも問題ねーっつーわけです。なので満点。

300冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆)