死者は荒野に永眠る

『キーリⅦ 幽谷の風は吹きながら』壁井ユカコ
自分の旅の終着点を見定めたものの手離せない大事な荷物があるため最後の一歩が踏み出せない不死人と大事な何かだけに固執するようになったために他のものを全て捨てしまいそうになった少女と痴ほう老人よろしくにポンコツとなってしまったラジオとの旅のお話。
ここにきて、これまで積み重ねてきたものの全てが実り読んでる間の感情移入具合がとてつもないことに。
三者三様の思いを胸に完全には交じり合っていないレールを一緒に進み続ける中段々と破局に向かっていることを全員が自覚する。
それでも今の状況を維持できるように願い努力を続ける各々の食い違った思いはどんどんとずれていき。
ラストまであと二冊、もう見逃せない。

317冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆☆)


『キーリⅧ 死者たちは荒野に永眠る(上)』壁井ユカコ
『キーリⅨ 死者たちは荒野に永眠る(下)』壁井ユカコ
まわりくどい性格の少女と面倒くさい性格の男がくっちたり離れたりする話であり、人生くたびれた男が生きる意味を取り戻す話であり、今を生きる運命をくれた惑星に感謝する男と一人と一台と出会えたことに最大限の喜びを得た少女と全ての役目を終えて安らかに終わっていったラジオの物語。
最早語るべき言葉は何もなく極々当たり前のようにエピローグに辿り着く前に涙を流しきる羽目に。
安っぽい言葉を吐くつもりはないのでとりあえず全員読んで涙しろ。

318〜319冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆☆★)


『ソラにウサギがのぼるころⅣ』平坂読
唐突に異能力に目覚めたが故に迫害された末に監獄とも言える都市に寄せ集められた少年少女の・・・ってこう書くと微妙に某禁書目録を彷彿と。
いや、まあこの作品の本質は低俗且つ最悪なスラングたっぷりの変態キャラによる協奏曲とでも言うべきだが。
一応の主題は『過去のトラウマを引きずりつつなるべくいざこざなく日々を生きたがる無気力少年が生きる喜びを取り戻す物語』みたいな・・・おや、なんとなく某不死人の物語を彷彿と。
いや、まあそれはそれとして、もう一丁大事なこととしては、この作者のシリーズは(といっても二作目だが)唐突に最終巻を向かえ、これまで隠されていた事象を次々に明らかにしておきながらも結局最低限の収拾をつけただけで他の色んな要素をブッチして書き逃げるということ。
前に比べたらだいぶマシになっているのだけれどファンとしてはもうちょい続きを読みたいなーって感じではあるんですけど。

320冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆★)