二冊

ミステリクロノ2』久住四季
”記憶””過去””現代”をテーマにした感じの時間と人の物語。
特に波の無い構成で読了直前までは淡々と読んでいたんだけれど、ラストエピソードの辺りで全ての評価が反転。
これまでの物語が全て音を立てて崩れ落ち、水面下での荒波を思わせるかのような激動の物語として生まれ変わった。
これこそミステリの真骨頂ともいうべき展開に久々に拍手喝采。
前シリーズの最初の二冊に匹敵するほどの満足感を充分に味わえた。
339冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆☆★)

塩の街有川浩
第十回電撃小説大賞<大賞>受賞作である同名タイトルを大幅加筆修正、というかその後発表された短編を織り交ぜて構成された新作であり完全版ともいえる作品。
文庫で読んだ時もそうだったが、何度読んでもこれは空前絶後な恋物語である。
世界の崩壊なんざ二人の恋愛の前には何の意味もないし、世界が壊れることなんてのは愛しい相手を失う可能性に比べればなんてことのない瑣末なことでしかない。
相手を失わないために世界崩壊の最大要因の排除が必要ならそうするさ、というスタンスにとてつもなく痺れる。
昔の俺なら兎も角今の俺は全く持ってそんなこと思えないだろうし。

何はともあれ、結局どんな状況におかれても人が人に対して抱く想いに敵う概念なんざ存在しえないってことで、ひとつ。
340冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆☆)