4冊

『魔女ルミカの赤い糸』田口一
表紙/あらすじ/タイトル、から一風変わった学園物と想定して買って読んだらファンタジーだった。
これはなんていうかイカと思ってホタテの刺身を噛った時のように拍子抜けする感じというか、すげぇ切ない。
なので内容が面白かったかどうかの判断の前にやる気が失ってしまったというか。
あとはまあキャラ重視な作品の割りにキャラが微妙すぎるというか、メインの二人以外はいてもいなくても同じじゃないかと思ったりとか主人公があまりにも深く物を考えなさすぎて馬鹿にしか見えないというか、色々。
魔女物が好きなら悪くは無いかもしれないが、個人的には残念賞。
341冊目(☆☆☆☆☆☆)

『ブラックペアン1988』海堂尊
『東城大学医学部付属病院』シリーズともいうべき、田口先生を主役とする一連のシリーズと場所を同じく、そして時を違えた作品。
今よりおよそ20年前、昭和と平成の狭間の時代に研修医として東城大学医学部付属病院外科医局に入局した新人Drを一応の主役とし、二十年後にまだまだ活躍しているメンバーや、20年後には名前すら現れないメンバーが送る医療物語。
今でも色々矛盾や古い慣習が残る医療界ではあるが、およそ二十年前の現状はそんなもんではないほどに不合理だらけ。
告知されない癌患者、IVHすらろくに行わない術後管理、過剰としか思えない程の手洗い工程などなど。一応手術室に籍を置く身としては驚きの現状が色々と。

とはいえそんなことは物語を楽しむのには大した関係も無い瑣末なこと。
医者としての役割、というか宿命を胸に掲げた外科医達の生き様が素晴らしく描かれた本作は、医療界を水面の向こうのこととして理解している人たちはもちろん、医療界を住処としている人にも是非に読んで欲しいところ。
本編、というか、田口先生を主役とするあっしのシリーズでも同様の内容については触れられているが、あちらはどちらかというとミステリ色が強い。
こっちに関してはミステリ要素はただ一点でしかないために、他の要素がクローズアップされやすい感じを受けた。
最初から最後まで非常に読み応えのある一冊だった。
342冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆☆★)

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん3 死の礎は生』入間人間
いやもう流石に全てが壊れに壊れすぎてついていけなくなってきた。
死んだ筈の妹が登場したり壊れる前から壊れてる同級生が多数登場したり腕に穴があいたり小指と小指にリアル赤い糸が通されたり、いやもう言葉もねぇ。
相変わらず嘘まみれなうえに観念的な地の分の逝きっぷりも際立っていたので真面目に読むと気が狂いそうな感じ。
ということで、俺的にシリーズから卒業ということで。
343冊目(☆☆☆☆☆☆☆)


『クダンの話をしましょうか』内山靖二郎 
最初に断言するが、傑作である。

タイトルよし表紙よし粗筋よしキャラクターより構成よしシナリオよし文章よし。
面白くない瞬間は一瞬も無かったが終幕を読み終えたときに湧き上がってきた感情の波の激しいこと激しいこと。
相手の運命に干渉する、と換言も出来る予言を告げることで対象の過去現代未来から自分自身との縁を切り離してしまう、という運命を覆すために日本中を渡り歩く少女、クダン。
これはそんな彼女がとある学校で関わった三人の少女が一つ大きくなることが出来る物語でもある。
予言をする度に誰かの中から自分が消失していく、そんな運命を背負いながらも相手の未来の為にそれをやめようとしないクダン。
いやはや、もう切なくてたまらねー。

そんな感じで傑作、とりあえず作者の前シリーズ揃えとくか。
344冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆☆★)