涙は

禁涙境事件上遠野浩平
基本的にファンタジーな上に、既に常軌を逸した存在が過去に実在したことが明らかになっている世界観なので今回登場した中で最強と思われる”残酷号”を然程埒外なものと感じはしないのだけれども、それはそれとして次以降の展開のために登場させた以上はシリーズ続けて欲しいなあ、としみじみ。
今回もミステリとしては別段感慨深いわけでもないが、いつもと違うのは一つの街が誕生して成長して崩壊していく中で発生した三つの不可解な事件を一つの事象として構成しなおして解決するという、感覚的には連作短編のような作品であるため、そういう意味では事件シリーズ初の試みと言えなくも無い。
とはいえ複数の登場人物其々の物語を展開し、収束することで一つの事象に終止符を打つ、という手法はデビュー以来得意としているわけであり、そういう意味ではいつもの作品とも言える。
ただまあ今回の一冊で更に世界感に深みが出たわけであるため、シリーズを続けて(以下略)。
107冊目(☆☆☆☆☆☆☆☆☆)